屋根修理のポイント|費用相場から業者選びの基準を解説
どんな家でも安心して快適に住み続けるためには、定期的なメンテナンスと修理が必要です。
今回は修理の中でもとても重要で選択の難しい「屋根の修理・リフォーム」について詳しくお伝えしていきます。
【目次】
POINT① 屋根修理は「即決しない」が鉄則!
屋根は外から破損や劣化の状況が見えづらく、住んでいても屋根の初期の異常に気づけるケースはほとんどありません。
そのため、屋根の修理は、「いつ・どのようにするか」の選択が難しい家の箇所といわれています。
そして実際に屋根が劣化していることに気づいたときには、
残念ながら修理にかなり高額の費用がかかってしまうということが多いのです。
さらには、「屋根は見えない部分」ということにつけ込んで、
強引な訪問販売や手抜き工事を行う悪徳業者も増えていることも問題になっています。
突然訪れて「今すぐ屋根の修理が必要です」「このままだと雨漏りしますよ」
「今すぐ契約してくれたら半額です」といったセールスをするのは悪徳業者の常套句。
絶対に即決してはいけません。慌てず対応するようにしましょう。
そのためにも「何もないから大丈夫」ではなく、
普段から屋根はいずれメンテナンスや修理が必要になる箇所であると認識しておくこと、
屋根の修理費用や依頼先など、あらかじめ下調べをしておくことが大切です。
POINT② 屋根修理の前に火災保険をチェック!
自然災害による破損など、一定の条件を満たす必要がありますが、
その条件さえ満たしていれば屋根の修理代が火災保険によって補償される場合があります。
ただし、ここにも「お宅の屋根は火災保険で修理できますよ」と、
訪問販売で無料修理を強調するような悪徳業者が存在しています。
実際に、令和元年に千葉県内を中心に甚大な被害を出した台風のあとは、
そのような業者による詐欺が問題にもなりました。
補償内容の確認もせずに無料修理をせまるような業者は、はっきり言って要注意です!
どのような火災保険に加入しているのかによって補償内容は異なりますので、
保険証書や保険会社に問い合わせるなどして、事前にチェックしておくようにしましょう。
– 屋根修理前に知っておきたい基礎知識 –
1. 屋根材にも寿命があります。
屋根と一言で言っても、「屋根材」にはいろいろな種類があります。
それぞれに特徴があり、その違いのひとつとして、屋根材の寿命を示す基準である「耐用年数」が挙げられます。
ここでは住宅によく使用される代表的な屋根材の特徴と耐用年数についてご紹介していきます。
スレート屋根
- 耐用年数:25~30年
- メンテナンスの目安:10~15年
もっとも一般的に普及している薄い板状の屋根材です。
コロニアムやカラーベストと呼ばれることもあります。
「軽量」なのが最大の特徴で、地震の際の家屋への負荷を軽減できるメリットがあります。
耐震性に優れているだけでなく、材工価格も安いことやデザインが豊富なこと、
対応できる職人さんが多いという点もスレート屋根の良い点です。
ただし防寒や耐熱性には劣り、10年を目安に塗り替えが必要になったり、クラック(ひび割れ)が生じたりします。
ガルバリウム鋼板
- 耐用年数:25~30年
- メンテナンスの目安:20年
アルミニウム、亜鉛、シリコンによって構成されている金属屋根です。
アルミニウムと亜鉛の防食作用によって「錆びにくい」という点と、
瓦よりもはるかに軽量のため家屋への負担が少なく耐震性に優れています。
ただし断熱性が低く、遮音性にも劣るため雨音が気になるといったデメリットがあります。
金属屋根には熟練した職人技が必要なため、スレート屋根に比べると対応できる職人が少ないという一面もあります。
材工価格はスレートよりもやや高くなります。
ジンカリウム鋼板
- 耐用年数:40~50年
- メンテナンスの目安:破損時のみ
表面が砂状の自然石でコーティングされており、再塗装が不要というのがこちらの金属屋根の大きな特徴です。
軽量のため耐震性に優れており、遮音性や断熱性も改善されています。
ただし、輸入材のためスレート屋根やガルバリウム鋼板よりも材工価格は高くなりますし、
扱いに慣れている職人も少ないため、工期が長くなるという一面もあります。
陶器瓦
- 耐用年数:50~60年
- メンテナンスの目安:破損時のみ
釉薬を塗って耐水性を高めた瓦です。陶器瓦の最大のメリットは、何といっても「寿命の長さ」でしょう。
仮に破損しても瓦1枚単位での交換修復が可能なため、費用も安く済みます。
遮音性、耐熱性にも優れていますが、重量があるために屋根への負担が大きく、
それに応じた家屋の耐震性を確保する必要があります。
もともとスレート屋根で設計されている建物の場合、陶器瓦にリフォームすることは困難です。
陶器瓦の屋根材の場合、職人技が必要で、材工価格も高めになります。
アスファルトシングル
- 耐用年数:20~30年
- メンテンナンスの目安:10~15年
主に、アメリカやカナダで一般的に使われる屋根材です。
薄さ6mmと軽量のために耐震性に優れており、
防音性の高さのほか、防水シートによって仕上げるため防水性が高い点も特徴です。
ただし、素材が薄いために台風などの災害時に強風で剥がれやすく、
また水を含みやすいのでコケなどが発生しやすいというデメリットがあります。
2. 屋根の修理が必要になる原因とは?
屋根はなぜ修理が必要なのでしょうか?
屋根が破損する原因は大きく分けて3つあります。
原因によってその後の対応も変わってきますので、大切なポイントになります。
経年劣化
寿命による屋根の破損や不具合は、一般的に「経年劣化」と呼ばれます。
劣化の原因は、風雨や紫外線といった自然環境。
主にスレート屋根や金属屋根は、経年劣化により塗装が剥がれ、穴が空くといった症状があらわれます。
特にスレート屋根材は、雨による吸水と太陽光による乾燥を繰り返す中で、15年ほどで砂状化するといわれています。
こうして経年劣化したスレート屋根材はひび割れを起こしたり、反りができたりします。
台風や暴風などの自然災害
耐用年数が長い瓦の屋根でも安心はできません。
台風や暴風といった「自然災害」によって瓦がずれたり、割れたりすることがあるからです。
強風以外にも、地震や大雪などでも屋根は大きなダメージを受けます。
自然災害による被害は、軒天、棟板金、雨樋といった箇所にも及びます。
もちろんスレートが割れたり、ずれたりすることもあります。
自然災害が起こった後は屋根に破損箇所がないか、しっかりと確認する必要があります。
初期の施工不良
経年劣化と自然災害が屋根の劣化の主な原因ですが、実はそれだけではなく、
「初期の施工不良」によって雨漏りなどが起こることもあります。
これについては施工中や施工直後の時点ではまず気づきません。
外観はまったく問題ないからです。問題が浮上するのは10年後だったりします。
施工不良については、問題のある屋根材(すぐにひび割れや反り返しが起こる)を使用していたり、
屋根材固定用の釘の打ち込み不良も考えられます。
釘の打ち込みが適正でないためにひび割れが起こりやすくなっているのです。
また、屋根材1枚について4本の釘を使用しなければならないところを
3本で済ませてしまうような手抜き工事も、施工不良のひとつです。
3. 屋根修理|修理内容別の費用相場一覧
屋根の修理にはいったいどのくらいの費用がかかるのでしょうか?
屋根の修理費用は「屋根材は何なのか」「どのくらいの範囲で修理が必要なのか」
「家の広さはどのくらいなのか」「修理なのか、リフォームなのか」で大きく変わってきます。
一般的な目安は40万円前後ですが、簡単な修理で済むのでしたら10万円前後になりますし、
大がかりな工事になると200万円前後になることもあります。
【修理例と費用の目安】
- 棟板金の取り替え/3万~10万円
- 雨樋の修理/3千円~10万円
- 漆喰の補修/1万~10万円
- スレート屋根や瓦の差し替え/1万~5万円
屋根は、定期的にメンテナンスしていれば修理費用を最小限にとどめることが可能です。
しかし、30坪・2階建てのスレート屋根全体を塗装するとなると40万~60万円はかかりますし、
新しいガルバリウム鋼板でカバーするのであれば150万~180万円、
もともとの屋根材をすべて撤去しガルバリウム鋼板に葺き替えするとなると180万~200万円です。
ちなみに施工に必要な足場代が比較的高額で、25~30坪の家だと15万~20万円、
30~35坪の家で18万~23万円、35~40坪だと20万~25万円ほど。
となると、やはり屋根のリフォームは高額になってしまうわけです。
また依頼する修理業者によっても屋根の修理費用は異なります。
大手業者だと安心・安全というイメージが強いかもしれませんが、実際は下請け、孫請けの業者に施工を依頼しており、
中間マージン分が上乗せされるため施工費用が高額になりがちです。
地元の業者の施工費用よりも、50万~150万ほど高くなるのが一般的です。
4. 屋根の不具合は放置するとどうなるの?
スレート屋根の場合、紫外線によって塗膜が劣化するため、色が薄くなってきたり、
触ったときに手に粉が付くチョーキング現象が発生してくると、再塗装のシグナルです。
「まだ大丈夫」と油断して放置していると、屋根材の劣化を早め、雨漏りを誘発することになります。
また、台風などの自然災害後にずれた屋根材や、破損・欠落した箇所を放置していても同様に雨水の侵入を許すことになります。
雨漏りも家屋の基礎に被害が広がるまで気がつかないケースもあり、
この場合、建物内部で腐食が進んで最悪の場合は建て替えの必要性も出てきます。
特に瓦の欠落は、最悪の場合、全体のバランスが崩れて屋根が崩落する危険性があるので注意してください。
点検やメンテナンスをこまめにしていれば修理の際のコストも最小限に抑えられるのですが、
不具合を放置し続けると、建物の基礎部分まで深刻な被害が及び、修理費用は高額になってしまいます。
屋根の不具合に気づいたら即対応することが大切。そのためにも相談できる修理業者を日ごろから探しておきましょう。
5. 火災保険で屋根の修理代が無料になるの?
火災保険の適用により、屋根の修理代が無料になるケースはあります。
状況によっては高額になる屋根の修理ですから、もちろん補償されるのであれば使わない手はありません。
しかし、火災保険の補償を受けるには条件があります。
それは、台風や大雨、集中豪雨による洪水・土砂崩れ、竜巻、雹(ひょう)といった「自然災害による被害認定」が
必要なことです。
そのため、経年劣化が原因の場合は火災保険はおりません。
また、損害を受けてから「3年」という請求期限もあります。
もしもに備えて保証内容や申請手続きを事前に確認しておくと安心です。
また、ここでも注意しなければならないのは、
「火災保険の請求をサポートする」「保険で自己負担なしで修理できる」と契約を急かす悪徳業者がいることです。
実際、消費者センターには、このような業者に騙され、
「高額な保険請求代行手数料」と「高額な施工費用」の2つの不当な請求の被害に遭うケースが、
毎年のように報告されています。
ほかにも、火災保険が適用にならなかったため、修理を断ったら違約金を請求されるといったケースもあるため、
業者との契約は慎重に行うようにしてください。
6. 屋根の修理「良い業者」選びのポイント
台風などの自然災害が少ない地域であっても、いずれは経年劣化による屋根の不具合を修理してもらうタイミングがきます。
悪徳業者に修理を依頼することがないよう、日頃から信頼できる屋根の修理業者をピックアップしておき、
不具合が生じたらすぐに対応できるようにしておくことがおすすめです。
そこで、信頼できる「良い業者」を選ぶ際のポイントをご紹介いたします。
【良い業者選びのポイント】
- ホームページに施工するスタッフの顔写真が載っている
- ホームページで豊富な施工事例の画像が確認できる
- 依頼者の立ち会いのもと、しっかり調査をしてくれる
- 充分調査したうえで見積書を出してくれる
- 見積書の説明が丁寧で、見積書の詳細内容が明確
- 屋根の破損状況や屋根裏の様子を写真や動画などで確認させてくれる
調査時間が10分未満の修理業者は避けた方がいいでしょう。
また、調査には必ず立ち会ってください。
信じられないことに、悪徳業者の中には無料点検と偽って、屋根に登り、
屋根を破損させて修理を要求してくるケースもあります。
このような悪徳業者は地域の評判も悪く、ホームページにも施工スタッフの顔や施工事例を載せていないことがほとんどです。
こういった業者は避け、上記のポイントを参考に地域から信頼されている修理業者を選ぶようにしてください。
費用について不安な場合は、いくつかの修理業者で見積もりを出してもらい、比較するのがよいでしょう。
異常に高額なところも避けるべきですが、異常に安いところも手抜き工事や追加請求などの不安があるため警戒すべきです。
屋根修理には一定のコストがかかります。
複数の見積もりがあれば、どのくらいが修理費用の目安になるのかも確認できるでしょう。
まとめ
近年、悪徳業者が増え、トラブルが起きやすいのが屋根の修理です。
決して訪問販売の言葉に惑わされることのないようにしてください。
特に自然災害時直後は要注意。
日ごろから信頼できる業者に屋根の点検やメンテナンスをお願いしておくことで、
安心してマイホームに住み続けることができます。
親子大工は、地域密着、丁寧な説明のもと、必ずお客様にご納得いただいてから施工を行っております。
マイホームは家族の宝物です。
だからこそ大切にケアしていきましょう。